属州を譲って勝つ: CPU の庭園戦略 4つのタイプ
CPU と打っていて、「属州は自分のほうが多いのに負けた」ということはありませんか。 棋譜を調べると、その多くは CPU が庭園と屋敷で点を稼いだ局でした。 この記事では、CPU がどんな王国で、どうやって庭園で勝っているかを4つのタイプに分けて、実際の王国の例とともに紹介します。
1. 棋譜でわかったこと
今の系統の CPU と人間の対局 370局を調べました。
- 人間が属州で上回ったのに負けた局が 27局 ありました。そのうち 20局 で、CPU は庭園を5枚以上持っていました。
- CPU が庭園を6枚以上取った24局で、人間の得点率は 14.6% でした。
- その24局で、人間が庭園を3枚以上取った局は 1局もありません。CPU が庭園を集めている間、人間は属州を買い続けていました。
- 24局のうち15局は、属州がなくなる前に、3つの山が空になって終わっています。
- その24局は平均 23手番目 で決着しました。庭園のない王国の局(平均17.8手番)より5手番ほど長いゲームです。
いくつか例を挙げます(点数は 人間 − CPU)。
| 局 | 人間の属州 | CPU の終局デッキ | 点数 | 決着 |
|---|---|---|---|---|
| 祝祭・民兵・議事堂などの王国 | 7枚 | 属州0、庭園8・屋敷10・公領6、全53枚 | 52 − 68 | 26手番 |
| 市場・山賊・研究所などの王国 | 5枚 | 属州1、庭園7・屋敷11・公領4、銅貨15 | 48 − 64 | 24手番 |
| 祝祭・魔女・家臣などの王国 | 6枚 | 属州1、庭園8・屋敷11、呪い7枚を受けても勝ち | 39 − 45 | 23手番 |
2. 庭園のおさらい
- 庭園は、終局時に自分のデッキ10枚ごとに1点です。40枚なら1枚4点、50枚なら5点になります。
- 2人戦では庭園の山は8枚です。2人で取り合うので、片方が6〜8枚取ると、もう片方はほとんど取れません。
- 3つの山が空になるとゲームが終わります。庭園を集める側は、庭園・屋敷・公領の山を空にして、属州が残っているうちに終わらせることができます。
CPU が庭園で勝つ局では、デッキが40〜50枚になります。庭園が4〜8枚で十数〜30点、さらに屋敷6〜8枚と公領3〜5枚で20点ほどを取り、合わせて40〜55点ほどになります。 これは属州7〜9枚ぶんに当たります。
3. 4つのタイプ
王国専門の CPU(その王国だけで練習した CPU)の対局を、庭園がある 327王国で調べました。 庭園を多く取る王国を上から見ていくと、デッキを大きくする方法で、おおむね4つのタイプに分かれました。
| タイプ | デッキを大きくする方法 | 庭園を取り始める手番 | 属州 | 決着ターン |
|---|---|---|---|---|
| A. 職人で取る | 職人で庭園を獲得し、役人で銀貨を増やす | 6〜8 | ほぼ取らない | 20〜23 |
| B. 銅貨を買い足す | 市場・祝祭の +購入 で、庭園と一緒に銅貨を買い足す | 7〜9 | ほぼ取らない | 19〜23 |
| C. 家臣と祝祭で回す | 家臣と祝祭で、大きいデッキのまま打てる形にする | 9〜14 | 2〜3枚 | 20〜21 |
| D. エンジンから一気に | 礼拝堂で削ってエンジンを組み、数ターンで庭園・銅貨・公領をまとめて取る | 11〜15 | 1〜4枚 | 15前後 |
下の例の王国では、王国専門の CPU が汎用の CPU に5〜9割勝っています。汎用の CPU も庭園は取りますが、専門の CPU ほど徹底しません。
以下の王国は、サイトの「王国専門」で名前を選ぶと、その CPU と打てます。 「汎用に〜%」は、サイトの一覧に出ている研究での測定(256局)です。
タイプA: 職人で庭園を取る
流れ
- 序盤(手番1〜4): 銀貨と役人を買います。魔女があれば魔女も買います。
- 手番5〜8から職人を買い、庭園を取り始めます。職人なら$4の庭園を手札に獲得できます。
- 手番9〜12は庭園と銀貨、手番13以降は公領と屋敷をほぼ毎ターン取ります。
- 終わり方: 庭園・公領・屋敷の3つの山が空になって、手番20〜23ごろに終わります。属州は0.5〜2枚しか取りません。
例
| 王国 | 王国カード | 汎用に | 専門の CPU の終局(平均) |
|---|---|---|---|
| x058 | 職人・役人・礼拝堂・庭園・商人・堀・鍛冶屋・村・魔女・工房 | 61.3% | 庭園5.9・屋敷7.2・公領3.9・属州1.0、45枚 |
| s054 | 堀・商人・村・役人・庭園・改築・鍛冶屋・研究所・書庫・職人 | 56.6% | 庭園4.6・屋敷7.3・公領4.4・属州1.8、41枚 |
| s243 | 地下貯蔵庫・堀・前駆者・商人・役人・庭園・玉座の間・鉱山・魔女・職人 | 51.0% | 庭園4.3・屋敷7.3・公領4.0・属州0.5、40枚 |
決着ターン(平均): x058 22.9・s054 22.2・s243 20.2。
s243 は汎用の CPU も同じ打ち方をするので、勝率の差は小さくなっています。それでも、庭園・屋敷・公領の3つの山が空になって終わる局が9割を超える、このタイプの典型です。
タイプB: +購入で銅貨を買い足す
流れ
- 序盤(手番1〜8): 市場か祝祭を2〜3枚と、職人や民兵を買います。
- 手番9〜16: 庭園と一緒に銅貨を買い足します(4ターンで2〜4枚)。+購入 があるので、$4 + $0 で庭園と銅貨が同時に買えます。
- 手番13以降は屋敷と公領に切り替えます。
- 終局の銅貨は12〜18枚、デッキは40〜50枚です。
- 終わり方: 庭園と公領(ときに屋敷)の山が空になって、手番19〜23ごろに終わります。
例
| 王国 | 王国カード | 汎用に | 専門の CPU の終局(平均) |
|---|---|---|---|
| x006 | 職人・役人・礼拝堂・祝祭・庭園・商人・民兵・玉座の間・村・工房 | 74.0% | 庭園5.9・屋敷8.5・公領4.6・銅貨14.0、44枚 |
| k189 | 礼拝堂・前駆者・工房・庭園・改築・玉座の間・祝祭・市場・鉱山・職人 | 68.2% | 庭園7.0・屋敷7.4・公領4.3・銅貨17.6、49枚 |
| s498 | 地下貯蔵庫・礼拝堂・堀・工房・庭園・民兵・金貸し・密猟者・市場・職人 | 58.0% | 庭園4.3・屋敷6.4・公領3.4・銅貨12.3、40枚 |
決着ターン(平均): x006 22.6・k189 21.9・s498 19.5。
k189 では、汎用の CPU は庭園を平均0.9枚しか取りません。専門の CPU は7枚取ります。同じ王国でも打ち方が大きく分かれる例です。 x006 には礼拝堂がありますが、専門の CPU は使いません。銅貨を捨てずに、むしろ増やしていきます。
タイプC: 家臣と祝祭で大きいデッキを回す
流れ
- 序盤(手番1〜8): 家臣を3〜5枚と祝祭を2〜3枚買います。 家臣は山札の上のアクションをそのまま使えるので、デッキが大きくなっても動きます。祝祭は +購入 とお金になります。
- 手番9〜16: 庭園を3〜4枚まとめて取り、銅貨も買い足します。属州も2〜3枚取ります。
- 手番17以降は屋敷・公領・銅貨です。
- 終わり方: 庭園の山はほぼ必ず空になります。あとは家臣や屋敷の山が空になって終わることも、属州切れで終わることもあります。手番20〜21ごろです。
例
| 王国 | 王国カード | 汎用に | 専門の CPU の終局(平均) |
|---|---|---|---|
| s355 | 地下貯蔵庫・前駆者・商人・家臣・村・庭園・民兵・祝祭・研究所・書庫 | 74.0% | 庭園4.6・屋敷5.7・公領1.9・属州3.0、46枚 |
| k083 | 地下貯蔵庫・堀・商人・家臣・庭園・金貸し・密猟者・祝祭・研究所・鉱山 | 72.7% | 庭園4.4・屋敷7.0・公領2.7・属州2.6、43枚 |
| k112 | 堀・家臣・庭園・密猟者・改築・鍛冶屋・玉座の間・山賊・祝祭・鉱山 | 61.5% | 庭園4.8・屋敷6.6・公領3.0・属州2.2、44枚 |
決着ターン(平均): s355 20.6・k083 20.1・k112 20.5。
このタイプは、属州と庭園の両方を取ります。属州の数だけを見ていると、相手の点数を低く見積もりがちです。
タイプD: エンジンを組んでから、一気に庭園を取る
流れ
- 序盤(手番1〜4): 礼拝堂と密猟者で始め、銅貨と屋敷を削ります。
- 手番5〜12: 玉座の間・研究所・市場・職人でエンジンを組みます。
- 手番9〜16: エンジンが回り始めると、1ターンに何枚も買います。庭園・銅貨・公領をまとめて取って、デッキを一気に35〜45枚まで増やします。削った銅貨を、最後にもう一度買い戻すことになります。
- 終わり方: 市場や研究所の山・庭園・公領が空になって、手番15前後で終わります。属州がほとんど残ったまま、ゲームが終わります。
例
| 王国 | 王国カード | 汎用に | 専門の CPU の終局(平均) |
|---|---|---|---|
| h03 | 礼拝堂・堀・村・庭園・密猟者・鍛冶屋・玉座の間・議事堂・市場・職人 | 86.7% | 庭園6.1・公領3.6・属州1.5・銅貨11.5、46枚、手番14.6で終局 |
| x044 | 職人・礼拝堂・庭園・前駆者・研究所・商人・堀・密猟者・玉座の間・村 | 74.2% | 庭園4.3・公領5.2・属州1.5、35枚、手番15.2で終局 |
| x035 | 職人・地下貯蔵庫・礼拝堂・庭園・研究所・市場・密猟者・鍛冶屋・玉座の間・村 | 72.9% | 庭園4.7・公領4.9・属州1.8、40枚、手番14.8で終局 |
同じタイプの変わり種が s490(地下貯蔵庫・堀・商人・家臣・庭園・密猟者・鍛冶屋・玉座の間・研究所・市場、汎用に 91.6%)です。 研究所8〜9枚のエンジンを組み、手番13〜16で庭園4枚と属州2〜3枚を同時に取ります。属州が切れて終わる局が8割近くあり、決着は平均19.1手番と、ほかのタイプDより遅めです。 人間との対局でも、属州5枚を取った人間が 36 − 49 で負けています(17手番で決着)。
4. 決着ターン
「決着ターン」は、ゲームが何手番目で終わったか(先手の手番数)です。王国専門の CPU と汎用の CPU の対局で比べました。
| 王国 | 局数 | 決着ターン(平均) | 10〜90% の範囲 | 3つの山で終わった割合 |
|---|---|---|---|---|
| 庭園のない王国 | 34496 | 17.9 | 13〜24 | 19% |
| 庭園はあるが、専門の CPU が使わない王国 | 8960 | 16.5 | 13〜21 | 11% |
| 専門の CPU が庭園を4.5枚以上取る王国 | 704 | 20.5 | 15〜26 | 77% |
- タイプA〜Cは、ふつうのゲームより3〜5手番長くなります。 庭園側は、デッキを大きくして屋敷や公領を積むために、時間を使います。
- タイプA・Bでは、長くなるほど庭園側が有利です。 専門の CPU が勝った局は、負けた局より平均で1〜3手番遅く決着しています(x058 23.7 と 21.6、x006 23.2 と 20.9、k189 22.7 と 19.2)。相手に早く終わらされると、庭園側は点が伸びきらないうちに終わってしまいます。
- タイプDは、逆にふつうより2〜3手番短くなります。 エンジンが回った2〜3ターンで山を3つ空にするので、手番15前後で終わります。勝った局と負けた局で決着ターンはほとんど変わりません。
- 人間との対局でも、CPU が庭園を6枚以上取った局は平均23手番、庭園のない王国の局は平均17.8手番で決着しています。
5. CPU に共通していること
- 庭園は序盤には買いません。 まずデッキを動かす部品(役人・職人・市場・祝祭・家臣・エンジン)を揃え、庭園は手番6〜15から取り始めます。
- 庭園の次は、屋敷と公領です。 庭園を取り終えると、屋敷と公領を取り続けます。
- 自分で山を空にして終わらせます。 庭園・公領・屋敷(タイプDでは市場や研究所も)の山を空にして、属州が残っているうちに終わらせます。
- 工房はほとんど使いません。 工房と庭園がある王国は120ありますが、専門の CPU が工房を平均1枚以上買った王国はありません。人間の定石の「工房で庭園」とは違います。代わりに、職人か +購入 を使います。工房を使わないのが本当に正しいのかは、まだ確かめていません。
6. 対局で気をつけるとよさそうなこと
棋譜から言えることは、次の2つです。
- 人間は、CPU が庭園を集めている間、庭園を取り合っていませんでした。
- 属州で勝っていても、3つの山が空になって先に終わっていました。
相手が庭園を3〜4枚取ったあたりで、次の3つを数えてみるとよさそうです。
- 庭園の山の残り
- 相手のデッキの枚数
- 空になりそうな山の数
これで、属州のレースを続けるか、庭園や公領を取りに行くかを判断できます。 また、タイプA・Bの相手には、ゲームが長引くほど庭園側の点が伸びることも覚えておくとよさそうです。 上の王国を「王国専門」で選ぶと、それぞれのタイプの CPU と実際に打てます。
人間との対局は、今の系統の CPU(azg42 以降と王国専門)との 370局です。王国専門の CPU の打ち方は、庭園がある 327王国で、専門の CPU と汎用の CPU(azp5)を各64局ほど打たせた記録の平均です。終局のデッキの枚数は平均なので、ばらつきがあります。